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  • 浅草出身、現在、長野県諏訪在住。かみさんと二人で、ほそぼそと暮らしています。

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2010年2月17日 (水曜日)

ぶり大根は、忘れられない味です。

かみさんの実家から、時々食材が送られてくる。

俺は失業中の身、家計がきつい事を知ってるからだ。

かみさんの実家だって、義父と義母、年金暮らしだ。

弟は、まだ若く、給料が安い。

その中から、生協で買った、安い食材を送ってくれるのだ。

いつも、ありがたく、いただいている。

_

「この大根、どうしようかぁ?」

かみさんが言うので、かみさんの方を見た。

かなり太い大根を持って、にこにこしていた。

太さは、15cmは、あろうか。

「ぶり大根が食いたい」

と、俺は、咄嗟に答えた。

「そう・・・ぶりが無いなぁ、買ってくるわ」

かみさんは、そそくさと用意をして、出かけて行った。

4Km歩いて、スーパーマーケットへ。

_

俺は、高専(高等専門学校)を卒業した。

そして、神奈川県の茅ヶ崎市の会社へ就職した。

3年目ぐらいに、大きな組織替えがあった。

そこで、S氏と知り合った。

その頃は、50歳を過ぎていただろうか。

周囲からは、変わり者と言われていた。

なにしろ、昇進を嫌がる。

第一線で頑張りたいと、言っていた。

残業手当が惜しいんだと陰口をいう人がいた。

でも、仕事はばりばりできた。

生産技術の知識に長け、営業への采配が素晴らしかった。

_

小さな組織替えで、俺は、S氏と同じ部署になった。

口が悪く、怒りっぽいので、最初は恐かった。

でも、実は、下の者を思う、優しい人物だと気付いた。

ただ、なにしろ、曲がった事が大嫌いなのだ。

_

いつしか、俺は、S氏と一緒に行動する事が多くなった。

長野県への営業周りには、設計として同行した。

長野県の諏訪には、S氏の別荘があった。

S氏は、とびきり金持ちでは無い。

ただ、自宅が、代々の持ち家だった。

だから、住居費が浮いていただけだ。

たまたま長野県に遊びに来た時に、安い土地を見つけた。

そこは、水はけが悪い山林地だった。

S氏夫婦は、土日だけ、通って、自分たちで整地した。

まだ、中央道が甲府までしか通って無い頃だ。

砂を入れたり、砂利を敷いたり、すごく大変だった。

S氏は、笑いながら言っていた。

でも、すごく楽しかったって。

建物は、近所の大工さんに建ててもらった。

_

ある日、S氏が、会社を辞めると言いだした。

長野県の別荘の方で仕事をしたいと言う。

ついては、一緒に来ないかという誘いだった。

仕事は、今の会社の代理店がまわしてくれるとの事。

俺は、二つ返事で、了承した。

_

S氏は、工業高校では、番長だった、と胸を張っていた。

伊豆半島が遊び場で、港ごとに女がいたと、真顔で言った。

野球では、キャッチャーで腕を鳴らした。

英語がしゃべれないのに、外資系の会社に入社した。

でも、すぐに辞めた。

そして、大手の工業系会社に入って、腕を磨いた。

そして、俺が入社した会社に入ったのだ。

なにしろ、高卒だけど、誰にも負けないという気概。

なにがあってもくじけない根性。

俺は、S氏が大好きだったのだ。

尊敬していたし、信頼していた。

だから、了承した。

_

会社を辞めて、長野県の諏訪に家を借りた。

若かったかみさんと、赤ん坊だった息子を連れて。

仕事場は、S氏の別荘だ。

住居の横に、小さな小屋があった。

四畳半の畳の間の周りに、板敷きの廊下がある。

そこは、「茶室」と呼んでいた。

_

長野県の代理店に、二人で行った。

ところが、昼食をごちそうしてくれただけで、帰された。

会社にいれば良いが、離れれば、そんなものだ。

そうじゃないのかなぁとは、思っていた。

代理店の担当者が、ある会社に連れていってくれた。

たぶん、申し訳無いと思ったんだろう。

その会社は、ちょうど、新しい事業を始める所だった。

そこで、外注の設計として使ってくれる事になった。

設計の道具である、ドラフターも貸してくれた。

_

20100217

_

茶室で、夢中で仕事をした。

ドラフターで、シャープペンを使って、図面を描いた。

隙間風がひどくて、冬の最中、手がかじかんだ。

足が冷たくて、感覚が無くなるほどだった。

設計ができないS氏は、暇だった。

新しい事業についてのアドバイザーの仕事はあったが。

S氏は、その時、単身赴任の状態だった。

いずれは、奥さんも越してくるのだが。

S氏は、石油ストーブの上に鍋を乗せた。

今晩の晩飯という事で、ぶり大根を煮始めた。

部屋の中に、良い匂いが充満した。

S氏は、鍋の中をつついて、一口食べた。

「おい、ちょっと食ってみろ、すげえうめえぞ」

「ほんとすか、どれどれ」

ほんとにうまかった。

冷えた体に、暖かさがもどった。

「もっと食えよ、いいからよ」

「いや、これ、晩飯なんでしょ」

「いいよいいよ、こんなに食えねぇよ」

「そっすか、そんじゃ」

しばらく、二人で、石油ストーブの上の鍋をつついた。

ぶり大根は、俺の、忘れられない味になった。

_

その後、6年ぐらい一緒に仕事をして、解散した。

S氏がリタイヤしたいという理由だ。

俺は、S氏の口利きで、甲府の方の会社に就職した。

S氏は、3年まえに、肺気腫で亡くなった。

_

かみさんが、買い物から帰ってきた。

寒いのに、汗かいちゃって、

「おかえり、ごくろうさま」

と、声をかけた。

昼食もそこそこに、ぶり大根を仕込み始めた。

「ことこと煮込んでくれよ」

かみさんに頼んだ。

石油ストーブがあれば、その上で煮込むのに。

_

.。.:**:.。..。.:**:.。..。.:**:.。..。.:**:.。..。.:**:.。..。.:**:.。..。.:**:.。..。.:**:.。.

_

俺の頭の中を流れた音楽を紹介する脳内プレーヤ。

今日は、MISIAさんの「Snow Song」です。

今年は、よく雪が降ります。

ところで、この動画、メルヘンチックで良いです。

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♪ MISIA  "Snow Song"
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コメント

みのさん。
私もそうですが人の世は移りにけるな悪戯に。が似合う感じですね。

私も,今日,ぶり大根を食べました。ダイコンは畑(といっても3坪の市民菜園)で昨日ぬいた物。
奥さんは,決して料理上手とは言えないんだけど,やっぱりとれたてのダイコンはおいしかった。おでんでもそうだけど,すじがなくて,ダイコンに味がすーっとしみこんでうまいです。
とまあー,今日はこんなコメントだけど,みのちゃん,お互いガンバロウね!

みのちゃんっ こんにちわ♪

忘れられない味ってありますよね。
因みに我が家のブリ大根は
作る度に 微妙に味が違います・・・

要は料理下手って事でっす・・・涙

みのさん、ぶり大根、いいですね〜。みのさんの奥さんって、料理、うまそうですよね〜。自分の奥さんは、段取りは悪いですが、味は合格点です。ネットで調べ、いろいろつくってくれます。

自分は、カレー当番で、2週間に1回、当番が回ってきます。来週当たり、当番が回ってくると思います。朝、起きるのが早いから、カレー当番の日は、朝5時から、つくります。大学時代、ホテルの厨房でバイトしてたので、料理は、簡単な物ならつくれます。

1年くらい前に、友人の彼女に会いましたが、旦那の条件が料理のできる人です。友人と名古屋にある男性専用の料理教室に体験クッキングに行ってきましたが、いっぱいでした。時代は変わったんだと思いました。

今日の昼食は何にしようかな〜。迷っ時は、CoCo壱番屋又は、なか卯です。

 みのちゃん こんにちは^^

 S氏と巡り逢えて良かったですね。
 とっつきにくそうな人の方が
 話してみると、良い人の場合が
 多い気がします。

 今日の絵のドラフター
 見たことは、ありますが名前は
 初めて知りました。
 考えているみのむしさんの顔が
 可愛いですね♡
 一つ言えばストーブの上の
 お鍋ですけど、湯気とかフタが
 コトコトとか、書いてあると
 ブリ大根の煮え具合が伝わると
 思いました。

 MISIA "Snow Song"

 こちらは、今朝雪で真っ白でした。
 景色のピッタリの音楽ですね。
 優しい気持ちになりました。
 ありがとう^^

桜光雪さん、コメント、ありがとう。
すみません。
どういう意味ですか?

あしたは晴れさん、コメント、ありがとう。
奇遇ですね、ぶり大根を同じ日に食べたなんて。
自分で作った大根の味は、また格別でしょうねぇ。
はい、お互い、がんばりましょう。

姫さん、コメント、ありがとう。
前向きに考えると、
いつ食べても飽きない味という事で(*^^)v

なりけんさん、コメント、ありがとう。
うちのかみさんは、料理は上手じゃないですよ。
本を見ながら、ぎりぎり満足なものを作ってくれています。俺の方が、かみさんの味に慣れちゃったという事もあるかな。
朝5時から、カレーを作るんですかぁ。
コトコト長時間煮るわけですね。
おいしいだろうなぁ。

キララさん、コメント、ありがとう。
S氏は、恩人であり、この人と巡り合ってなかったら、俺はまた違う人生だっただろうと思います。
絵のアドバイス、ありがとう。
湯気を描こうと思ったんですが、難しくて断念しました。まだまだですねぇ。
キララさんの所は、雪が多いんですね。
音楽がぴったりで良かったです。

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